ページの本文へ

Hitachi

株式会社 日立インフォメーションアカデミー

プロボノチームが北海道奥尻高校「Node-REDを用いたプログラミング授業」の開発・実施を全面支援

-北の離島発!島で稼ぎ暮らせる未来のギーク*1育成!-

2018年4月26日

 第4次産業革命が加速する今、高齢化の進む日本が各国とのビジネス競争に立ち向かい、生き抜いていくためには、IT技術を身につけることが必要不可欠です。一方で経済産業省の発表では、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足すると予想されており、学校教育におけるプログラミング教育の必修化や強化が、急務となっています。
 そのような中、当社は北海道奥尻高等学校様(以下、奥尻高校)と合同で、高校生を対象とした「"これからの時代"に向けたプログラミング授業」の開発と、実施の支援を行いました。本件は、奥尻高校の想いに共感した当社の有志9名による、プロボノ(*2)活動として実施したものです。
 なお、今回作成したプログラミング授業は、社会やビジネスへの活用が拡大している「IoT」を見据えた構成としており、「コーディングによる開発が主業務ではないが、業務改革のために簡単な業務の改善アプリケーションを自作したい」といった、社会人の育成要望にもお応えできるものです。

*1
元々は、卓越した知識があること、あるいはそうした者を指すアメリカの俗語。現在は、特にコンピュータやインターネットについて、マニアックな技術や知識を有する人を表すことばとして使用されている。
*2
社会人が仕事を通じて培った知識やスキル、経験を活用して社会貢献するボランティア活動

 以下に概要をご紹介します。

■活動の経緯

 奥尻島にある北海道奥尻町は、1993年に発生した「北海道南西沖地震」により壊滅的な被害を受けました。その後、住民の不屈の努力により1998年3月に完全復興を宣言し、「災害に強い町」を基調としたまちづくりを進めています(*3)。一方で、町の人口は1960年をピークに減少し続けており、2014年に日本創成会議が発表した推計において奥尻町は、「消滅可能性自治体(*4)」のひとつに挙げられています。これを受け、奥尻町は地域振興と人口減少に立ち向かうべく、「奥尻島創生総合戦略」のもと、島を挙げてさまざまな活動を推進しています(*5)
 その北海道奥尻島に所在する唯一の高校が、2016年に道立から奥尻町立へと移管された奥尻高校です。奥尻高校の学校長 俵屋 俊彦先生は、「島に住んでいても"稼げる"スキルを生徒に身につけさせたい」、「どのような職場にあってもイノベーティブな仕事ができる人になってほしい」という考えのもと、特色のある授業や取り組みを町ぐるみで進め、生徒の主体性向上と地域活性化を牽引しています。
 その中で「奥尻島と本州とが光ケーブルでつながっているメリットを生かして生徒自身でアプリケーションを作り、"商売ができる"ことをめざせるようなプログラミング授業をしたい」という校長先生の想いに当社の有志9名が共感し、プロボノチームによる今回の授業開発支援につながりました(授業開発期間:2017年9月~12月)。

*3
国土交通省 「離島振興計画(平成25年度~平成34年度)」
*4
少子化や人口移動に歯止めがかからず、将来に消滅する可能性がある自治体。民間有識者でつくる日本創成会議により、2014年5月に打ち出された考え方。
*5
平成28年「奥尻町創生総合戦略」

■活動の新規性・先進性

1. 新しい学び方の提案

今回の授業は、生徒に「身近な問題を解決する手段」としてのITの可能性を伝え、ITへの興味関心を喚起し、未来に向けた継続的、自律的な学習につなげることを目的としました。
そこで当社と奥尻高校は、これからの"あるべき教育の姿"を構想し、従来の「積み上げ型学習」ではなく「学習者の学習動機を中心」としたアプローチ(下図)での、カリキュラム開発を行いました。
また、授業で作成するプログラムと、生徒が住む奥尻島の地理や日頃から慣れ親しんでいるSNSとを連動させることで、生徒自身が楽しみながら取り組める工夫をしています。

1. 新しい学び方のアプローチイメージ


[授業の実施要領]

●期間
2018年2月21日(水) ~ 2018年3月22日(水)
(約20時間のカリキュラムを約8回に分けて実施)
●場所
北海道奥尻高等学校(当社が、東京都品川区から、Web会議システムで授業をサポート)
●生徒数
北海道奥尻高等学校1年生 12名
●作成するプログラムの例
・宇宙ステーションと飛行機の位置を、地図上に表示する
・天気予報のデータを取得し、twitterから天気に関する情報をツイートする
・twitter上のツイートを画像と位置情報をマップに表示し、避難所サンプルをつくる

2. "誰でもが学び易く"の提案

 "難しい"、"つまらない"という、心理的なハードルを軽減・払拭することは、その後の継続的な学習に影響すると考えます。そこでプログラミングツールには、ビジュアルにプログラミングを行えるツール「Node-RED(*6)」を採用し、初めてプログラミングに触れる高校生にとって、学びやすい環境を用意しました。
 Node-REDは、下図に示すようにノード(処理の塊)をつなぐことでアプリケーションを作ります(航空機の現在地を地図上に表示する例)。ノードは目的に合わせ、さまざまなものが用意されており、コーディングの必要がほとんどありません。
 また、Node-REDは、ビジネスでの活用がますます広がるIoTとの親和性が高く、日立製作所のLumadaで活用されています。

Node-REDイメージ

*6
ハードウェアデバイス/API、オンラインサービスを接続するためのツール。拡張性や独自性に富むプログラムを作成でき、かつ外部アプリケーションとの豊富な連携機能を持つことで、IoT時代に対応するプログラミングツールとしても注目を集めている。

3. "場所に依存しない"学びのサポート

 北海道奥尻島と、当社が所在する東京都との間の地理的な制約にとらわれずに、効率的な授業開発と効果的な授業支援を行えるよう、授業開発中の会議や授業当日の当社社員によるサポートを、Web会議システムを用いて実施しました。

[Web会議の様子]

Web会議の様子1イメージ   Web会議の様子2イメージ

[授業当日のサポート風景]

授業当日のサポート風景1イメージ   授業当日のサポート風景2イメージ


授業当日のサポート風景3イメージ


 授業を終えた生徒のみなさんから、以下のような感想を頂戴しています。

生徒イメージ
  • ・自分の作ったアプリが表示される達成感があって、楽しかった。
  • ・Node-REDに用意されているノードを、自分でアレンジして違うノードを作成する作業が楽しかった。
  • ・世界地図に何か情報が表示されたときに、わぁ すごいぞと思った。
  • ・元々のプログラミングへの印象は、よくわからないし生活との関係性も感じていなかった。授業を受けた今は、プログラミングが生活にも活用できることがわかった。でも悪用されやすいんじゃないかとも思った(地図に個人情報が載ったり)。
  • ・「プログラミングは難しい」という印象が強く、この先やろうとしても踏み出すことができなかったと思う。でも、授業で印象が少し変わり、この先プログラミングをする機会があるならば、積極的に取り組めるようになりそう。

 また、「作ってみたいプログラム」として、「ドラマで見た面白いトピックをアプリで実装してみたい」、「バスの走行位置をリアルタイムで確認できるようなプログラムを作ってみたい」など、さまざまなアイデアが挙がりました。
 まずはプログラミングに関心を持っていただき、そしてそれぞれの趣味や日常の課題から「やりたいこと」「解決したいこと」を思い描くきっかけを作ることができたのではないかと思います。

 先生方からは、以下のようなご意見を頂戴しています。


先生イメージ
  • ・ほぼ全ての授業への参加、質問対応を行っていただくことで、生徒の活動がより発展的なものとなった。
  • ・授業開発プロセスにおいて、明確なビジョンやコンセプトをもとに、チームを巻き込んでいく姿勢や方法が参考になった。
  • ・提供された操作や指導に関するマ ニュアルがビジュアルでわかりやすく、事前準備にあたっての助けとなった。
  • ・Node-Redを用いたプログラミング授業は、次年度以降も継続予定。生徒が発案したアイデアを実装する、発展的な授業にも挑戦してみたい。

 これからも当社は、人財育成に関する取り組みをとおして、お客さまのIT人財の活性化、社会課題解決のご支援、IT産業の発展に貢献すべく、さまざまな取り組みを続けてまいります。